ワインを育てる熟成
私たちのまわりには、醤油や味噌、チーズなど、さまざまな発酵食品が存在します。発酵とは、酵母や乳酸菌などの働きにより、もとの素材よりも旨みや栄養価が増し、さらに保存性が高まる現象ですが、ここで欠かせないのが「熟成」。時間をかけて寝かせることで、風味や味わいなどのバランスが格段に向上するのです。実は食肉も同様で、牛肉の場合は通常2週間ほど熟成させ旨みが増した状態で出荷されています。
ぶどうを発酵させて造るワインも当然、熟成が必要です。しかし十分に熟成させてから出荷されることはまずありません。飲み頃を迎えるまでに長い時間がかかる為、毎年膨大な量のワインが生産されるワイナリーにおいて、その貯蔵スペースを確保することは非常に困難だからです。したがって、出荷後のワインはインポーターやワインショップ、そして最終的には私たちが、飲み頃になるまで熟成させる必要があるのです。
ワインの適切な保存環境とは
ワインは遮光された静かな場所で、ごく微量の熟成生成物を放出します。湿ったコルク栓に瓶内の液体をわずかに、にじませ、アルコールや水分とともに熟成生成物を瓶外に発散させながら、熟成していくのです。酸化還元熟成といい、この時の環境はコルクの乾かない湿度平均70%、温度13(±2)℃程度の暗闇が理想とされています。
ワインに合うフレンチ
Chez やなぎさわ
オーナー・シェフ 柳沢 富二男
フランス・パリの五つ星ホテル〈ホテル・ド・クリヨン〉、二つ星レストラン〈タストヴァン〉にて修行。帰国後リゾートホテル等でシェフとして勤務。2007年に自宅を改装し、小さな予約制フランス料理店をオープン。
ウイスキーやブランデーなどと違い、ワインは本来食事をとりながら楽しむお酒です。料理に合わせてワインを選ぶとき、一般的に「肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワイン」と言いますが、必ずしも肉・魚での分け方にとらわれる必要はありません。「色の濃い料理には赤ワイン」というぐらいに考えるのがよいでしょう。